◆ 保存刀剣鑑定書 ◆ 美濃赤坂 千手院 ◆ 南北朝の美しい太刀姿
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大和千手院の流れを汲む、美濃赤坂 千手院派は南北朝期の延文年間に国長を租とし濃州不破郡赤坂村に移住し、
室町中期まで栄えております。
元々美濃には東大寺、興福寺といった有力寺社の荘園があり、大和とは古くから文化的交流があったとされ、
鍛冶集団も行き来があったようです。
寺社に納めるため、刀剣の多くは無銘で、銘のあるものは少なく、したがって両者の出来の差はありません。
本刀も無銘ながら、青味がかった精錬された地金に小互の目交じりの丁子乱れを焼き出来は良く、
帽子の仕上がりひとつをとっても、相当の上手が打ったものと推測されます。
姿は小切先に踏ん張りのある腰反りをしており、優雅な鎌倉期の太刀姿。
この時代のもので磨り上げされずに、うぶ茎で製作当時の姿を残しているものは稀でとても貴重な品と云えましょう。
保存刀剣に合格していますので、観賞に差し障りのあるようなキズはありません。
刃切れはもちろん、刃こぼれ、曲がり、しなえ、ふくれ、埋金、深錆等もありませんが、小さい薄錆と鍛え肌は
古刀ですのでいたしかた無いところでしょう。
重ね尋常、刀身のみで 673gある地刃共に健全な素晴らしい古刀の名品です。